委任契約書の確認点——範囲・金額・終わり方
委任契約書でまず見るべきは、①委任の範囲(交渉までか、調停・訴訟や控訴審は含むか)、②着手金・報酬金の金額または計算方法、③実費・日当の扱い(概算か実額精算か)、④中途で契約が終了した場合の精算方法、の4点です。範囲外の手続(例:調停から訴訟への移行)で追加着手金が必要になる場合は、その旨が書かれているはずです。
着手金は「結果にかかわらず発生し、原則返金されない」費用です。だからこそ、何の事務に対する対価か、範囲がどこまでかを契約書上で明確にしておくことが重要です。契約書の控えは必ず受け取り、口頭での説明と食い違う点があればその場で質問しましょう。
報酬金は「何をもって成功とするか」を確定させる
報酬金(成功報酬)は「経済的利益の◯%」と定めるのが一般的ですが、その“経済的利益”に何が含まれるかで金額は大きく変わります。相手から回収した額だけか、請求を減額できた分も含むのか。全面勝訴のときだけ発生するのか、一部の和解でも発生するのか。ここが曖昧なまま進めると、終了時に認識の食い違いが生まれます。
タイムチャージ制の場合は、時間単価と概算見込み、上限(キャップ)の有無を確認します。いずれの方式でも、途中経過で費用がどこまで積み上がっているかを問い合わせたときに答えてもらえる体制か、確認しておくと安心です。
支払いが不安なとき——法テラス・特約・分割
収入と資産が一定基準以下であれば、法テラスの民事法律扶助により、無料法律相談や、弁護士費用の立替え(原則として月々の分割で償還)を利用できる可能性があります。利用には審査があり、すべての案件が対象になるわけではありませんが、費用を理由に相談をあきらめる前に確認する価値があります。刑事事件では、資力要件を満たせば国選弁護の制度もあります。
交通事故では自動車保険の弁護士費用特約により自己負担が実質かからないことがあり、債務整理では分割払いに対応する事務所が多くあります。費用面の事情は正直に伝えたほうが、現実的な進め方を一緒に考えてもらえます。
確認チェックリスト
- ✓委任契約書を交わし、控えを受け取ったか
- ✓委任の範囲(交渉・調停・訴訟・控訴審)と追加着手金の条件を確認したか
- ✓報酬金の「経済的利益」の定義と発生条件が具体的に書かれているか
- ✓実費・日当は報酬に含まれるか別途か、精算方法を確認したか
- ✓中途終了時の精算方法(既払金の扱い)が書かれているか
- ✓法テラス・弁護士費用特約・分割払いの利用可否を確認したか